FIREの情報は「どう貯めるか」に偏っています。でも本番は、貯め終わったあとです。
働いて入ってくるお金が止まり、資産を減らしながら生きていく。この期間に「あと何年もつのか」が分からないままだと、せっかくFIREしても不安は消えません。このページの計算機は、その部分を数字にするために作りました。
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年ごとの残高を表で見る
※ 毎月はじめに取り崩し、残りを年利÷12の月複利で運用する前提です。取り崩し額は毎年インフレ率のぶん増やしています(生活水準を保つため)。 税金・社会保険料・年金収入は含めていません。実際には65歳以降の公的年金があるぶん、必要な取り崩し額は下がります。 利回りは毎年一定として計算しており、実際の相場は上下します。とくに取り崩し初期の暴落は資産寿命を大きく縮めます。
この計算機が答えていること
「資産◯◯万円を、毎月◯万円ずつ取り崩したら、何歳で尽きるか」です。3つの要素で結果が決まります。
- 取り崩し率:年間の取り崩し額 ÷ 資産。4%ルールの「4%」がこれです
- 運用利回り:取り崩しながらも残りは運用を続ける前提です
- インフレ率:物価が上がるぶん、同じ生活をするのに必要な金額は毎年増えます
計算は毎月はじめに取り崩し、残りを年利÷12で運用する形にしています。当ブログのFIRE計算機と同じ月複利です。
4%ルールは「永久に持つ」わけではない
まず、当ブログでも何度も出てくる4%ルールの話をします。
資産6,000万円・年利4%・毎月20万円(=年240万円=取り崩し率4%)で計算すると、こうなります。
| インフレ率 | 資産が持つ年数 |
|---|---|
| 0% | 60年以上(尽きない) |
| 1% | 46.6年 |
| 2% | 35.3年 |
| 3% | 29.4年 |
インフレ0%なら理論どおり尽きません。運用益と取り崩しが釣り合うからです。ところがインフレを1%入れただけで46.6年に、2%なら35.3年まで縮みます。
理由は単純で、取り崩す金額のほうが毎年増えていくからです。物価が2%上がる世界で今と同じ生活を続けるなら、20年後には月20万円ではなく月29.7万円必要になります。資産の増える速度は変わらないのに、出ていく額だけが増える。だから寿命が縮みます。
取り崩し率を変えるとどうなるか
同じ6,000万円・年利4%・インフレ1%で、取り崩し率だけ変えた結果です。
| 取り崩し率 | 毎月の取り崩し | 資産が持つ年数 |
|---|---|---|
| 3.0% | 15.0万円 | 60年以上 |
| 3.5% | 17.5万円 | 60年以上 |
| 4.0% | 20.0万円 | 46.6年 |
| 4.5% | 22.5万円 | 36.8年 |
| 5.0% | 25.0万円 | 30.8年 |
| 6.0% | 30.0万円 | 23.3年 |
| 7.0% | 35.0万円 | 18.8年 |
3.5%と4.5%の差は、月にすると5万円。でも資産寿命は「尽きない」と「36.8年」の差になります。出口では、入口で1万円積立を増やすのとは比べものにならない感度で効きます。
若くしてFIREするほど期間が長くなるので、40代でリタイアするなら4%ではなく3.5%以下を見ておくほうが安全です。
利回りが1%違うと何が起きるか
取り崩し率4%を固定して、利回りだけ変えた結果です(インフレ1%)。
| 想定年利 | 資産が持つ年数 |
|---|---|
| 2% | 29.0年 |
| 3% | 34.9年 |
| 4% | 46.6年 |
| 5% | 60年以上 |
| 6% | 60年以上 |
3%と5%の間、つまりたった2%の差で「35年」と「尽きない」が分かれます。取り崩し期に入っても運用をやめられないのはこのためです。
ただし、ここにはこの計算機では表現できない大きなリスクがあります。
この計算機は「毎年きっちり4%」で計算していますが、実際の相場は上下します。そして同じ平均リターンでも、暴落が来る順番によって結果が変わります。
取り崩しを始めた直後に暴落が来ると、値下がりした資産を生活費のために売ることになります。売った分は将来の回復に乗れないので、その後どれだけ相場が戻っても資産は元に戻りません。逆に暴落が後半に来れば、影響ははるかに小さい。
これを「収益率配列のリスク(シークエンス・オブ・リターン・リスク)」と呼びます。対策は主に2つです。
- 現金クッションを2〜3年分持つ:暴落中は現金から取り崩し、資産を売らない
- 定率取り崩しにする:毎年「資産の4%」を取り崩す方式にすると、相場が下がった年は自動的に取り崩し額も減るので資産が尽きにくくなります(そのぶん生活費が変動します)
日本の会社員が見落としがちな「年金」
ここまでは資産だけで生きていく前提でした。でも日本の会社員には公的年金があります。これが出口の計算を大きく変えます。
たとえば55歳で6,000万円を持ってリタイアし、月20万円で暮らすとします。上の表のとおり、そのままなら46.6年(101歳)で枯渇です。
では、65歳から月15万円の年金が入るとどうなるか。65歳以降、資産から取り崩す額は月5万円で済みます。同じ条件(年利4%・インフレ1%)で計算すると——
資産は尽きません。 それどころか運用益のほうが取り崩しを上回るので、増え続けます。
つまり、日本の会社員のFIREで本当に厳しいのは**リタイアから年金開始までの「つなぎ期間」**であって、その先ではありません。この10年をどう乗り切るかが設計の中心になります。
- 必要なのは「一生分」ではなく「年金までの分+その後の不足分」。25倍を丸ごと用意しなくていいケースがあります
- **つなぎ期間だけ働く(サイドFIRE)**の効果が非常に大きい。月5万円の収入でも、取り崩し率が1%近く下がります
- ただし年金額は加入期間と報酬で人それぞれです。必ずねんきんネットで自分の見込額を確認してください(早期リタイアで加入期間が短くなると、見込額も下がります)
使い方のおすすめ
まず悲観側で回してください。 利回りは低め(3%)、インフレは高め(2%)で入れてみて、それでも年金開始まで持つかを見る。ここで持つなら計画はかなり堅いです。
そのうえで、以下の順に調整すると現実的な着地点が見つかります。
- 取り崩し額を減らす(=生活費を下げる)— 一番効きます
- つなぎ期間だけ労働収入を残す
- リタイア年齢を1〜2年遅らせる(資産が増え、取り崩し期間が短くなるので二重に効く)
- 税金・社会保険料を含めていません。実際には取り崩し時に運用益への課税(新NISA枠外の場合)や、国民健康保険料などの支出があります
- 利回りを毎年一定として計算しています。上に書いたとおり、実際は暴落の「順番」で結果が変わります
- 年金・退職金・相続などの収入は含めていません
- 本ページは特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします(免責事項)
貯める側の計算はこちら
このページは「貯め終わったあと」の計算機です。そもそも何歳でその金額に届くのかは、こちらで計算できます。
🧮 FIRE計算機で達成年齢を出す年齢・積立額・生活費から達成年齢を出します- 必要資産の考え方と貯蓄率の効き方 → FIREに必要な金額と年数の出し方
- 年齢・積立額別のモデルケース → FIRE達成年齢の早見表
- 取り崩し額そのものを下げる → 固定費を下げる順番