「FIREしたい」と思ったとき、最初にぶつかる質問は2つです。いくら必要なのか。そして、何年かかるのか。

この2つは別々に語られがちですが、実は1本の計算でつながっています。この記事では、当ブログでバラバラに書いてきた「必要資産額」「4%ルール」「貯蓄率」「副業の効果」「複利の目安」を、自分の数字を出すための順番に並べ直しました。

電卓を1回叩けば、あなたのFIRE到達年数はだいたい出ます。

この記事の結論
  • 必要額の目安は年間支出の25倍(4%ルール)。年収ではなく支出から逆算する
  • 到達年数を決めるのは年収ではなく貯蓄率。手取りの何割を残せているかがすべて
  • 貯蓄率50%なら約18年、30%なら約31年。貯蓄率が低い人ほど、1%の改善が効く
  • 4%ルールは米国の研究が元。日本の会社員には税・為替・年金の3つのズレがある

ステップ1:いくら必要か(年間支出の25倍)

FIREの必要額は、年収ではなく年間支出から逆算します。よく使われるのが「4%ルール」です。

資産を年4%ずつ取り崩しても資産が尽きにくい、という考え方で、裏を返せば年間支出の25倍(100÷4=25)を用意すればよい、ということになります。

  • 年間支出300万円(月25万円)→ 必要額 7,500万円
  • 年間支出240万円(月20万円)→ 必要額 6,000万円
  • 年間支出180万円(月15万円)→ 必要額 4,500万円

ここで大事なのは、支出を1万円減らすと、必要額が300万円減るということです。月1万円の節約は、300万円分の資産形成と同じ意味を持ちます。収入を増やすより、支出を見直すほうが効率がいい場面があるのはこのためです。

管理人
管理人私も最初は「年収がいくらなら」と考えていました。でも必要額の式に年収は出てきません。出てくるのは支出だけです。ここに気づいたとき、家計簿の見方が変わりました。

ステップ2:4%ルールをそのまま信じてよいか

4%ルールの出どころは、米国トリニティ大学の研究(トリニティ・スタディ)です。米国株と債券のポートフォリオを対象に、過去のデータで「30年間、資産が尽きなかった取り崩し率」を調べたものでした。

つまり米国の過去データ・米国の税制・ドル建てが前提です。日本の会社員が使うときは、少なくとも3つのズレがあります。

  1. 税金:日本では運用益に約20%課税されます(NISA枠を除く)。4%取り崩しても手取りは4%になりません
  2. 為替:米国株で運用するなら、円で使う以上は為替リスクを負います。円高に振れれば取り崩せる金額は減ります
  3. 年金:日本の会社員は将来的に公的年金を受け取れます。65歳以降は必要額が下がるため、一生分を25倍で用意する必要はないかもしれません

3つ目はプラス方向のズレです。「4%ルールで7,500万円必要」と出た人が、実際には年金を考慮するともう少し少なくてよい、というケースは普通にあります。

注意点
  • 4%ルールは過去データにもとづく目安であって、将来を保証するものではありません
  • 取り崩し初期に暴落が来ると資産寿命が大きく縮みます(シークエンス・オブ・リターン・リスク)
  • 税制・年金制度は変わります。最新の情報は金融庁・日本年金機構でご確認ください
  • 投資には元本割れの可能性があります。生活防衛資金まで投じるのは避けてください
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ステップ3:何年かかるか(決めるのは貯蓄率)

ここが本題です。到達年数を決めるのは、年収ではなく貯蓄率です。

理由はシンプルで、貯蓄率が上がると「毎年積み立てられる額」が増えると同時に、「必要な生活費=ゴールの金額」が下がるからです。分子が増えて分母が減るので、効き方が二重になります。

手取りに対する貯蓄率ごとに、資産ゼロから始めて何年でFIREに届くかを計算しました。

貯蓄率別のFIRE到達年数。貯蓄率10%で58.7年、50%で17.7年、70%で9.1年

前提: 実質リターン 年4%(インフレ調整後)・目標は年間支出の25倍・資産ゼロから開始・貯蓄率と支出は一定。税金と手数料は考慮していません。あくまで方向性をつかむための単純化した試算です。

貯蓄率 FIRE到達までの年数
10% 約58.7年
20% 約41.0年
30% 約30.7年
40% 約23.4年
50% 約17.7年
60% 約13.0年
70% 約9.1年

このグラフで一番大事なのは、線の「曲がり方」です。

貯蓄率10%から20%へ上げると、到達年数は17.7年も縮みます。ところが60%から70%へ上げても、縮むのは3.9年だけ。

つまり貯蓄率が低い人ほど、たった10%の改善で得られるものが大きい。「まだ貯蓄率が低いから自分には無理だ」と思っている人こそ、最初の一歩の効果が一番大きい位置にいます。逆に、すでに高い貯蓄率の人がさらに切り詰めても、見返りは小さくなっていきます。

💡 ポイント
  • 貯蓄率 =(手取り − 支出)÷ 手取り。ボーナスも年間で均して入れる
  • 上げ幅が同じ10%でも、低い位置からの10%のほうが圧倒的に効く

ステップ4:副業と節約、どちらが効くか

貯蓄率を上げる方法は2つしかありません。支出を減らすか、収入を増やすかです。

  • 支出を月1万円減らす:貯蓄が月1万円増え、同時に必要額が300万円減る。両側から効く
  • 副業で月5万円増やす:貯蓄が月5万円増える。必要額は変わらない(生活水準を上げなければ)

金額あたりの効率でいえば節約に軍配が上がりますが、節約には下限があります。 生活費をゼロにはできません。一方で収入側には上限がない。だから順番としては「まず固定費を削って貯蓄率の土台を作り、それ以上は収入で伸ばす」が現実的です。

副業を足したときの効果は、上のグラフの横軸を右に動かすことで読み取れます。貯蓄率30%の人が副業で40%になれば、到達は約30.7年から約23.4年へ、7年以上早まります。

固定費の削り方は固定費を下げる順番に、住居費という一番大きな固定費については賃貸vs購入の試算にまとめました。

ステップ5:複利の感覚をつかむ(72の法則)

最後に、暗算用の道具を1つ。72の法則です。

72 ÷ 年利(%)= 資産が2倍になるおよその年数

  • 年利3% → 72÷3=24年
  • 年利5% → 72÷5=14.4年
  • 年利7% → 72÷7=約10.3年

ちなみに普通預金の金利を年0.02%とすると、72÷0.02=3,600年。桁を間違えているように見えますが、これが「預金だけでは増えない」ということの正体です。

この法則は、複利がどれくらいの速さで効くかを体感するための道具です。年利が保証されているわけではない点だけは、いつも頭の隅に置いてください。

明日からできる一歩

順番はこうです。

  1. 直近3か月の支出を平均して、年間支出を出す(これがすべての起点)
  2. 年間支出 × 25 で必要額を出す
  3. (手取り − 支出)÷ 手取り で貯蓄率を出す
  4. 上のグラフで、自分の貯蓄率のところを見る

ここまでやると、「あと何年か」という漠然とした不安が、1つの数字になります。数字になれば、次にやることも決まります。年数が長すぎると感じたなら、動かすべきは貯蓄率です。

年齢や積立額ごとの具体的なモデルケースはFIRE達成年齢の早見表にまとめてあるので、自分に近いケースはそちらで確認できます。

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