副業で月5万円稼げるようになったとき、実際に手元に残るのはいくらか。税金を引いたあとの数字で答えられる人は意外と少ないと思います。

このページの計算機は、本業の年収と副業の利益から「増える税金」と「手取り」を出します。あわせて、調べていて見つかった2つの落とし穴も書きます。ひとつは有名な誤解、もうひとつはほとんど知られていないと思います。

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副業の手取り計算機 副業で稼いだお金から、増える税金を引いて実際に残る額を出します
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※ 会社員(給与1か所・年末調整済み)が副業をする前提です。社会保険料は本業の年収の15%として概算しています。 副業が雑所得・事業所得なら社会保険料は増えません(副業もアルバイト等の給与なら話が変わります)。 配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除などは入れていないため、実際に増える税額はこれより小さくなることがあります。 青色申告特別控除は事業所得(または不動産所得)にしか使えません。雑所得では使えません。 個人事業税(所得290万円超で3〜5%)、消費税(売上1,000万円超など)は含めていません。

落とし穴①「20万円以下なら申告不要」は所得税だけの話

これは本当によく見かける説明です。そして半分しか正しくありません。

国税庁のNo.1900にはこう書かれています。

給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人

つまり20万円以下なら所得税の確定申告は不要。ここまでは正しい。問題はその先です。

住民税は1円から申告が必要です

国税庁も、20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも住民税の申告が必要な場合があると明記しています。

住民税には「20万円ルール」がありません。所得税の確定申告をすれば、そのデータが自治体に回るので住民税の手続きも同時に済みます。逆に言うと、確定申告をしない場合は、自分で市区町村に住民税の申告をしなければ申告漏れになります。

「20万円以下だから何もしなくていい」——これが一番危ない理解です。

ランカ
ランカじゃあ結局、金額に関係なく何か手続きは要るんですか?
ずきん
ずきんそうです。20万円ルールは「確定申告をしなくてよい」であって「税金を払わなくてよい」ではありません。むしろ20万円以下のときのほうが、住民税の申告という別の手続きが必要になるぶん面倒とも言えます。

参考までに、本業年収600万円・白色申告の場合の境目です。

副業の利益 所得税の確定申告 増える税
19万円 不要(住民税の申告は必要) 38,399円
20万円 不要(住民税の申告は必要) 40,420円
21万円 必要 42,441円
25万円 必要 50,525円

20万円を超えたところで税額が跳ねるわけではありません。手続きの義務が変わるだけです。

落とし穴②:稼ぐほど手取りが減る境目がある

こちらは計算していて見つけたものです。

令和7年分から、基礎控除が「合計所得金額」に応じて段階的に下がるしくみになりました(国税庁 No.1199)。

合計所得金額 基礎控除(令和7年分・令和8年分)
132万円以下 95万円
132万円超 336万円以下 88万円
336万円超 489万円以下 68万円
489万円超 655万円以下 63万円
655万円超 2,350万円以下 58万円

問題は、これがなだらかに減るのではなく、境目でストンと落ちることです。合計所得が489万円から490万円になった瞬間、基礎控除は68万円から63万円へ、5万円まるごと減ります。

本業年収600万円の人で計算すると、こうなります。

副業の利益 合計所得 基礎控除 増える税 手取り 前年比
51万円 487万円 68万円 103,071円 406,929円 +7,979円
52万円 488万円 68万円 105,092円 414,908円 +7,979円
53万円 489万円 68万円 108,134円 421,866円 +6,958円
54万円 490万円 63万円 121,386円 418,614円 −3,252円
55万円 491万円 63万円 124,428円 425,572円 +6,958円

副業の利益を53万円から54万円に増やすと、手取りが3,252円「減ります」。1万円多く稼いだのに、税金が13,252円増えるからです。

同じことが合計所得655万円の境目でも起きます(この人の場合、副業の利益219万円→220万円)。

本業の年収によって、境目の場所が変わります

自分の場合どこで起きるのかは、本業の年収で決まります。

本業の年収 手取りが減る副業の利益
300万円 135万円 / 288万円 / 454万円
400万円 61万円 / 214万円 / 380万円
500万円 134万円 / 300万円
600万円 54万円 / 220万円
700万円 136万円
800万円 46万円
1,000万円 なし(すでに一番下の段)

白色申告・経費ゼロの場合。青色申告控除や経費があると位置がずれます。

実務としてどうするか

金額としては数千円なので、これを避けるために仕事を断るのは本末転倒です。ただ、知っていれば打てる手はあります。

  • 経費を計上する。利益が下がれば境目の手前に戻せます(本来使ったお金だけです。念のため)
  • 青色申告特別控除を使う。65万円控除なら利益がそのぶん圧縮されるので、境目の位置が変わります
  • 売上の計上時期を調整する。12月と1月にまたがる案件の入金時期など、正当な範囲で
  • そして何より、境目のすぐ上にいるなら、そこから先はもう少し稼いだほうが得です。段差はその1万円だけで、越えてしまえば通常のペースに戻ります

上の計算機は、いまの利益から見て次にこの段差が来る位置を自動で表示します。

手取りはいくら残るのか

本題に戻ります。本業年収600万円・白色申告・経費ゼロの場合です。

副業の利益 増える税 手取り 手取り率
10万円 20,210円 79,790円 79.8%
20万円 40,420円 159,580円 79.8%
30万円 60,630円 239,370円 79.8%
50万円 101,050円 398,950円 79.8%
100万円 261,318円 738,682円 73.9%
200万円 565,518円 1,434,482円 71.7%
300万円 879,928円 2,120,072円 70.7%

稼ぐほど手取り率が下がります。副業の所得が本業に上乗せされて、より高い税率の区分に入っていくためです。

本業の年収別に見ると、この差はもっとはっきりします(副業の利益100万円で固定)。

本業の年収 増える税 手取り 手取り率
300万円 151,050円 848,950円 84.9%
400万円 188,316円 811,684円 81.2%
500万円 202,100円 797,900円 79.8%
600万円 261,318円 738,682円 73.9%
700万円 304,200円 695,800円 69.6%
800万円 314,410円 685,590円 68.6%
1,200万円 334,830円 665,170円 66.5%

同じ100万円を稼いでも、本業年収300万円の人は約85万円、1,200万円の人は約67万円しか残りません。副業の価値は、本業の年収によって2割近く変わります。

ひとつ良いニュース

副業の所得が雑所得・事業所得であれば、社会保険料は増えません。社会保険料は給与や賞与をもとに決まるからです。

増えるのは所得税と住民税だけ。上の計算はその前提で作っています。ただし副業がアルバイト等の「給与」の場合は別で、勤務時間や規模によっては社会保険の対象になります。

青色申告にすると、いくら変わるか

副業が事業所得として認められる場合、青色申告特別控除が使えます。国税庁 No.2072 の要件は次のとおりです。

控除額 要件
10万円 簡易な帳簿でよい
55万円 複式簿記で記帳し、貸借対照表・損益計算書を添付して期限内に申告
65万円 55万円の要件に加えて、e-Taxで申告または電子帳簿保存

本業年収600万円・副業の利益100万円・経費ゼロで比べます。

申告のしかた 増える税 手取り 白色との差
白色申告 261,318円 738,682円
青色10万円 230,898円 769,102円 +30,420円
青色55万円 90,945円 909,055円 +170,373円
青色65万円 70,735円 929,265円 +190,583円

白色から青色65万円に変えるだけで、年間19万円の差です。会計ソフトの費用を引いても十分に見合います。

ただし、誰でも青色にできるわけではありません

青色申告特別控除が使えるのは事業所得(または不動産所得)だけで、雑所得では使えません。副業が事業所得と認められるかは、継続性・営利性・帳簿の有無などで判断されます。

また、青色申告をするには事前に開業届と青色申告承認申請書の提出が必要です。承認申請には期限があります(原則その年の3月15日まで、その年に開業した場合は開業から2か月以内)。思い立った年からすぐ使えるとは限りません。

まとめ:副業を始める前に確認する順番

  1. 副業の所得が20万円を超えるかを見る。超えるなら確定申告、超えなくても住民税の申告が必要
  2. 手取り率を計算する。本業の年収が高いほど、副業1万円あたりの手取りは減ります
  3. 自分の「段差」の位置を確認する。上の計算機が次の境目を教えます
  4. 事業所得にできるなら、青色申告の届出を先に出す。期限を過ぎるとその年は使えません
  5. 経費を記録する習慣をつける。利益が下がれば税も段差も避けられます
この計算機の限界
  • 会社員(給与1か所・年末調整済み)が副業をする前提です
  • 社会保険料を本業の年収の15%として概算しています。配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除などは入れていないため、実際に増える税額はこれより小さくなることがあります
  • 個人事業税(所得290万円超で3〜5%)、消費税(売上1,000万円超など)、副業が給与の場合の社会保険は含めていません
  • 税制は変わります。基礎控除の段階構造は令和7年分・令和8年分のもので、令和9年分以降はまた変わります
  • 具体的な申告の判断は、必ず税務署または税理士にご確認ください免責事項

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※ 税額の計算は国税庁タックスアンサー No.2260(所得税の速算表)・No.1410(給与所得控除)・No.1199(基礎控除)・No.2072(青色申告特別控除)・No.1900(給与所得者で確定申告が必要な人)にもとづいています(2026年9月時点)。