会社をやめた1年目の国民健康保険料は、まだ働いていた年の給料で決まるので高くなります。この1年目をどうするか(国保と任意継続のどちらが安いか)は、FIRE後の健康保険シミュレーターで計算できます。

この記事は、その先の2年目以降の話です。2年目からの国保料は、退職したあとの自分の所得で決まります。所得をいくらに抑えると、保険料がいくらになるのかを表にしました。

この記事の結論
  • 2年目以降の国保料は、前の年(1〜12月)の所得で決まる
  • 単身・40〜64歳なら、所得43万円以下で年25,462円(月約2,100円)。7割軽減が効く
  • 軽減には3つの境目(単身なら43万円・74万円・100万円)があり、1円こえると年16,975〜25,462円上がる
  • NISAの利益、退職金、失業給付は所得に入らない。副業の所得は入る
  • 所得がゼロでも住民税の申告をしないと、軽減が受けられないことがある

国保料は「所得割」と「均等割」の足し算

国民健康保険料は、おおまかに次の2つを足したものです。

  • 所得割:前の年の所得から43万円を引いた額に、料率をかける
  • 均等割:加入している人1人ごとに、決まった額がかかる

東京23区(世田谷区)の令和8年度は、40〜64歳なら所得割の料率が合計13.01%(医療7.51%・後期高齢者支援金2.80%・介護2.43%・子ども・子育て支援金0.27%)、均等割は1人あたり合計84,873円です。

保険料の年度は4月から翌年3月までで、その計算には前の年の1月〜12月の所得が使われます。会社をやめて次の年の所得がゼロなら、その次の年度から保険料が大きく下がる、という順番です。

所得割から引けるのは43万円だけです。所得税で使える扶養控除・社会保険料控除・iDeCoの掛金の控除などは、国保料の計算では引けません(世田谷区)。iDeCoで安くなるのは所得税と住民税で、その額は「iDeCo、毎月いくらでいくら得する?」で見られます。

所得別の早見表(単身・40〜64歳)

退職後の所得ごとに、1年分の国保料を計算しました。東京23区・令和8年度の料率です。

前の年の所得 均等割の軽減 国保料(年) 月あたり
0円 7割 25,462円 2,122円
43万円 7割 25,462円 2,122円
43万円をこえる 5割 42,437円〜 3,536円〜
74万円 5割 82,768円 6,897円
74万円をこえる 2割 108,230円〜 9,019円〜
100万円 2割 142,055円 11,838円
100万円をこえる なし 159,030円〜 13,253円〜
150万円 なし 224,080円 18,673円
200万円 なし 289,130円 24,094円
300万円 なし 419,230円 34,936円

「〜をこえる」の行は、境目を1円こえたときの金額です。40歳未満は介護分がかからないので、この表より安くなります。

所得43万円以下なら、所得割はゼロで、均等割も7割引きになります。残るのは均等割の3割だけで、年25,462円です。

軽減の境目を1円こえると、いくら上がるか

均等割の軽減は、世帯の前の年の所得の合計で決まります(令和8年度)。

軽減 単身 夫婦2人とも国保
7割 43万円以下 43万円以下
5割 74万円以下 105万円以下
2割 100万円以下 157万円以下

5割は「43万円+31万円×加入者の数」、2割は「43万円+57万円×加入者の数」で決まります。給与や年金をもらう人が2人以上いる世帯は、境目がもう少し上がります。

境目は段になっているので、こえた瞬間に保険料がはね上がります。単身・40〜64歳で計算すると次のとおりです。

所得の変化 国保料(年) 上がる額
43万円 → 43万1円 25,462円 → 42,437円 16,975円
74万円 → 74万1円 82,768円 → 108,230円 25,462円
100万円 → 100万1円 142,055円 → 159,030円 16,975円

たとえば副業の所得が75万円だった人は、74万円に抑えられていれば年25,462円安くすみます。所得は「売上-経費」なので、年末の時点で境目の近くにいるなら、必要な経費の時期や、青色申告の控除が使えるかを確かめておく価値があります。

ランカ
ランカ夫婦だと、どれくらいになりますか?
ずきん
ずきん2人とも国保で40〜64歳なら、世帯の所得43万円以下で年50,924円です。1人ごとに均等割がかかるので、単身のほぼ2倍になります。

所得に入るもの・入らないもの

FIRE後のお金の出どころによって、国保料の計算に入るかどうかが分かれます。

お金の出どころ 国保の所得に入るか
副業・自営の所得(売上-経費) 入る
アルバイトの給料(給与所得控除のあと) 入る
家賃収入などの不動産所得 入る
確定申告した上場株式等の売却益 入る
特定口座(源泉徴収あり)で、申告しない売却益 入らない
NISAの口座の売却益 入らない
退職金 入らない
失業給付(基本手当) 入らない
貯金や元本を取りくずしたお金 入らない(所得ではない)

特定口座(源泉徴収あり)の売却益は、令和6年度から所得税と住民税で同じあつかいになり、確定申告をしなければ国保の所得にも入りません。逆に、損益通算などのために確定申告をすると所得に入るので、その分の国保料を差し引いて考える必要があります。

所得がゼロでも、住民税の申告を
国保の軽減は、市区町村が世帯の所得を把握できて初めて判定されます。会社をやめて収入がなくなり、確定申告もしない年は、住民税の申告(所得なしの申告)をしておかないと、7割軽減が受けられないことがあります。手続きは住んでいる市区町村で確認してください。

FIREの生活費に入れておく

2年目以降の国保料は、所得を低く保てば年数万円ですみます。それでも、会社員のときは給料から天引きされていたぶん、見落としやすい固定費です。

単身で所得ゼロなら月約2,100円、副業で年150万円の所得があるなら月約18,700円です。この金額を毎月の生活費に足してから、何歳で仕事をやめられる?やFIRE計算機に入れると、目標の金額がずれにくくなります。生活費が月1万円ちがうと、目標(生活費の25年分)は300万円ちがいます。

副業の所得にかかる所得税・住民税は副業の手取り計算機で出せます。国保料はそれとは別にかかるので、両方を足して手取りを考えてください。

FIRE後の健康保険シミュレーターで計算する前の年の年収・世帯人数・退職後の所得を入れて、1年目と2年目を比べられます
この記事の計算の範囲
  • 国保の料率・限度額・軽減の基準は、東京23区(世田谷区)の令和8年度のものです。市区町村によって料率も均等割も違います
  • 1年分を通して加入した場合の金額です。年度の途中で加入・脱退したときの月割りは入れていません
  • 65歳以上の公的年金の特別控除、会社都合で退職した人の軽減(前の年の給与所得を30/100とみなす特例)は入れていません
  • 制度は変わります。実際の金額は、住んでいる市区町村の国保の窓口や試算ページで確かめてください(免責事項)

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※ 国保の料率・軽減の基準は世田谷区国民健康保険条例の一部を改正する条例(令和8年2月25日)と保険料の計算方法にもとづいています(2026年10月時点)。金額は当サイトの計算機と同じ式で出したもので、計算のコードは tools/calc_kokuho_shotoku_ref.py にあります。